清掃は、最後の手段だと思っています。
できれば触らない。
触らなくて済むなら、それがいちばんいい。
前回は「触る前に立ち止まる」という基準を書きました。
今回は、その前の段階です。
そもそも、触らなくて済む状態をどう作るか。
私にとっての答えが、防湿庫でした。
防湿庫は「守る箱」というより、
触らなくて済む時間を延ばすための装置だと思っています。
なぜ38%なのか
よく40%前後が目安と言われます。
私もそのあたりを基準にしています。
ただ、防湿庫は開けるたびに湿度が上がります。
レンズを戻す。
フィルムを取り出す。
少し迷って、また戻す。
その数分で数字は簡単に動きます。
ある日、閉めた直後に表示が42%まで上がって、
少しだけ落ち着かなくなったことがありました。
たいした数字ではありません。
それでも、気になった。
だから私は、気持ちだけ下げて38%にしています。
深い理屈があるわけではありません。
開けたら上がるなら、
少しだけ余白を持たせておこう。
それだけです。
湿度に正解があるとは思っていません。
大きく外れなければいい。
そのくらいの距離感です。
低ければ安心、ではない
湿度は低いほど安全、という単純な話でもありません。
乾燥しすぎるのも、どこか不自然に感じます。
数字だけを追いかけていると、
だんだんカメラを見なくなります。
それは少し違う。
私は専門家ではありませんが、
極端に振ることのほうが怖い。
日本の梅雨は容赦がありませんし、
冬は一気に乾燥します。
除湿機を回しているのに湿度が下がらない日もあります。
あれはちょっと理不尽です。
だから数字を追いかけすぎない。
安定していれば、それでいい。
38%は、その目安です。
1930年代とそれ以降
同じ湿度でも、意味は少し違います。
1930年代の個体は、
経年の素材を抱えています。
バルサム。
塗膜。
真鍮。
守るべきものが多い。
だからこそ、変動をできるだけ小さくしたい。
一方で、M6のような実用機は設計も新しく、
少し神経質になりすぎなくても大丈夫だと感じています。
それでも共通しているのは、
湿度が低いことより、
湿度が安定していること。
ここは変わりません。
電子式を使っている理由
私は電子式の防湿庫を使っています。
理由は単純で、安定しやすいからです。
乾燥剤式が悪いというわけではありません。
ただ、私の使い方には電子式のほうが合っていました。
内蔵の湿度表示は、もちろん目安です。
でも毎日見ています。
39%と41%で少し落ち着かなくなるあたり、
まだ修行が足りません。
電子式防湿庫の一例
メーカーに強いこだわりはありませんが、
安定性という意味で選ぶなら、このあたりが一例です。
東洋リビング ED-55(電子式)
約55L。
レンジファインダー数台とレンズ数本なら余裕があります。
大きすぎず、小さすぎない。
“増やしすぎない”という意味でも、
ちょうどいいサイズです。
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HOKUTO HS-25L(電子式・小型)
約25L。
本体数台だけを管理するなら十分なサイズです。
容量が限られているぶん、
物理的に増やせないという安心もあります。
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4台ローテーションと環境
バルナックD2。
M3。
M6。
MP。
フィルム一本ごとにローテーションしています。
使ったら戻す。
戻したら落ち着く。
防湿庫は“しまい込む場所”ではなく、
循環の中で安定させる場所です。
湿度は止めるためではなく、
使い続けるためにあります。
防湿庫は少し危険
防湿庫は便利です。湿度が安定する。管理も楽になる。
そして空きスペースが目に入ります。
「あと一本いけるな」
本当に、毎回思います。
防湿庫は保存装置ですが、同時に誘惑装置でもあります。
増やさないと決めていても、欲しくならないわけではありません。
それでも、できるだけ入れすぎない。
余白があるほうが、なぜか落ち着くからです。
まとめ|触らない時間を伸ばす
清掃は距離感。保存は環境。
38%という数字に、立派な根拠はありません。
でも、基準を持つと迷いが減ります。
触らない時間が長いほど、清掃は減ります。
そして何より、安心して使える。
守るために使う。使うために守る。
そのあいだにある静かな基準を、これからも整えていきたいと思っています。
カビやバルサムについては、また別の記事で触れます。
構造を知ると、湿度という数字も少しだけ違って見えてきます。







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